ゆうゆう、ゆりはま

ゆうゆうのひと

湯梨浜町

江戸後期に生まれた名曲を泊の海原に響かせつづけたい。

泊貝がら節保存会 米村敏男・浜家満

鳥取県の日本海沿岸部には、貝獲り作業の有名な労働歌が伝わっている。「貝がら節」だ。各地域で少しずつ異なるが、いずれも情感にあふれている。「泊貝がら節」は、まさに泊地区バージョンである。江戸時代後期に生まれた歴史のあるこの一曲だが、歳月のなかに埋もれそうになり、それを救おうと保存会が生まれる。その保存会もいったん消え、再結成という平坦でない道を歩んでいる。
昭和48年の初の保存会誕生は、あるテープの手柄だった。一人の中学生が、祖母の「泊貝がら節」をなぜか録音していたのだ。歴史の証言者によってめでたく日の目を見た労働歌だったが、またしても時の流れのなかに沈み、保存会は自然消滅する。
もう復活は望めないか、と古老たちも諦めかけていたが、この文化を伝えないのはいくら何でももったいない、と平成19年に再結成される。会長は、あのテープ録音の功労者、米村敏男さん(写真右)だ。自ら歌い手も兼ねる。その活動を支える副会長が、元・教育長の浜家満さん(写真左)である。後継者を育てるにはまず子どもだ。子ども時代にこの地域文化に親しめば、心の片隅に残り、おとなになっても忘れないだろうと考えた。さすがは教育長の発想である。発足した「ジュニア保存会」は、少子化のなかではあるが活気を失っていない。太鼓一張とともに、青空と大海原へ向けて歌う情緒ある一曲が、いつまでも伝えられていくことを信じたい。