ふんわり優しい空気をまとった森 明菜さんは、店に置かれた物語のひとつから抜け出た登場人物のよう。表にある「本」の看板を見てふらり立ち寄るお客さんは、居心地の良さに「初めて来た気がしないね」と、棚の本を手に取ったりコーヒーを飲んだり。近所なのに知らなかった同士がここで出会うこともある。静かな昼下がりには、店番をしながらミシンを踏む。子供の頃、和裁をやっていた母の横で、見よう見まねの手芸遊びをしていた。湯梨浜に住み始めてその頃のことを思い出し、サコッシュなど作って本の横に並べる。そんな小物のファンも増えてきた。「こんなことがあったらいいなーを、できることからやっています」