創業は鮮魚店、やがて、とびきり新しい海の幸を食べさせてくれる料亭へと発展して「河本魚店」の現在がある。気温がぐっと下がる時季になると、なんといっても冬の鳥取を代表する味覚の王・松葉ガニである。秘伝のだし汁で仕立て上げる名品は根強い人気だ。大家族の主婦でもあって、目の回るように忙しい河本和子さんは、「休みですか、元日ぐらいかしら」という日々だが、おいしいと喜んでもらえるのは、こんなにうれしいことはないから、ちっともつらいとは思わない。うれしいことに長男がこの店を継ぎ、守っていきたいと明言した。となれば、評価と実績をより盤石にして送り渡していかなければ。母はがんばる。