極端にお菓子の好きな少年の人生は、そのときからすでに決まっていた。高校を出てすぐ大阪のホテルに勤務。いずれケーキ職人になりたいとの考えからだが、もちろん、そうすんなりはいかない。紆余曲折のすえ、一念を貫いて故郷の湯梨浜でケーキ店を出すべく帰ってきたのは33歳のとき。戦友である妻の激励に支えられ、オープンにこぎつける。初めて売れたケーキはチョコとバナナの一品。それからは夢中で職人の道を突き進む。「湯梨浜はフルーツ王国。いい鶏卵もあり、ケーキにとって絶品の素材に恵まれています」。これを軸にした自信作を次々と生んでいくなかでの信念は、「ケーキは安心してわが子に食べさせるものでなければならない」。