2人の兄とともに、ピオーネやシャインマスカットなどのぶどうづくりに励む植原ひかるさんが、この畑仕事に携わるようになったのは高校を卒業してすぐ。体力的にきついのは言うまでもないが、それを上回って余りあるよろこびを自覚した。1年目の出荷のとき、ハッと気づいたことがあった。収穫したぶどうを進物用のきれいな箱に詰める。「そういう作業は想像していなかったので、とても新鮮でした」。どこかの誰かが、どこかの誰かへの感謝や敬意、あふれる想いを伝えるための、ぶどう。「ああ、農業の力ってそういうこともあるんだ、と思いました」。天が、作物を通して大事なことを教えてくれる。それが畑仕事だと考えている。