広大なバラ園だ。組織が運営しているものではなく藤井勝美さんが1人で築いたもの。営業ではないから、見学は自由。保育園の園児たちから高齢の方々まで、そして障害のある方々などさまざまな見学客が口コミで訪れる。みんなに元気を与えるが、「いえ、元気をもらっとるのはこっちのほうです」。農水省に長く勤務し、「勤め上げたらのんびり花でも作って暮らそう」とは、ずっと頭の片隅にあったこと。実現まではもちろん試行錯誤が重ねられた。「思いこんだら脇目もふらず突き進む人で……」という夫人の証言がある。バラは美しさの底が深い。「とりわけ、朝露に包まれている姿は言葉に尽くせません」。その光と色彩のドラマが、すべての原動力だ。