ゆうゆう、ゆりはま

ゆうゆうのひと

湯梨浜町

湖に浮く船のようなふしぎな時間がカフェに流れる。

HAKUSEN 小島毅

もともとは日本海の入り江だったのが、天神川の砂でふさがれて湖となったといわれる東郷湖。海水と淡水とが混じり合うこの汽水湖は、湯梨浜町を代表する水景色だ。魚介類も豊かで、湖の上空を飛ぶ鳥たちの姿は美しい。湖畔を颯爽とウォーキングしている人たちは、陽に輝く湖面につい足を止めるが、陽が傾くとさらに足が止まる。絶品の夕景のせいだ。この東郷湖と、まさに一体化したようなカフェがHAKUSENである。湖に突き出した、というより湖に浮く船にいる感覚のカフェだ。
オーナーの小島毅さんは、大阪生まれ。内装デザインの仕事に携わっているうち、カフェにもっと深く関わってみたくなった。そして栃木県の那須高原の老舗カフェに惚れこみ、身を投じたのが30代前半。そこでみっちり経験を積み、縁あって日本海に臨む町で「自分の店」を発進させたのが30代の終わり、ということになる。
店の空気感、そしてメニューのこだわりを愛するファンたちが増えつづけている。「何年も東郷湖を見てきたけれど、ここでまた新しい景色と時間を見つけたよう」という人も少なくない。この町に心動かされ外から入ってきたオーナーにとっては、何よりの評だ。
小島さんはマンネリを嫌う。それは飽きっぽいのとは少し違って、変化を求めるこころを失わずに進みたいという意志の表われにちがいない。湯梨浜町の「可能性」を肌で感じている。