ビートルズに惹かれたのは米田桂吾さんが小学生のとき。一過性の関心ではなく、身に沁みこんでゆく。音楽専門学校に進み、ロサンゼルスに短期留学したことが大きな転機となった。ポール・マッカートニーが行きつけというメキシコレストランなども知り、メキシコ料理の魅力に開眼し、研究を決意する。帰国し、挫折を繰り返したすえ、2017年、メキシコ料理のライブハウスのオープンに漕ぎつけた。「長年苦労を重ねてやっと飲食店を開く人が多いなか、音楽しかやってこなかったズブの素人がぽっと始めるのは失礼きわまりないこと……」という想いはつねにある。その謙虚さがあるからこそ、この世の中にふたつとない個性的な店が育つのだろう。