木々に囲まれた静かな家に造形と色彩の華やぎがあふれている。それが森本せつさんのアート作業場である。そもそもは大阪の人。40年ほど前にオランダを訪れ、独特のフォークアートに出会い、惹かれた。帰国し、興味を示す人に手ほどきをしているうちに多忙をきわめる。「このへんで卒業しましょうと思い立ちました」。30年ほど前から別荘として馴染んでいた湯梨浜町へ夫婦で移住を決断。するとやはりアートを媒介とした輪が広がっていった。結局は忙しくなった。「かつて、自家製のおだんごを売る峠の茶屋に憧れたことも」あったものだった。あるとき誰かがこう言った。「あなたはすでにそれをやっているのよ。おだんごのかわりにアートでね」